「先生、鼠径にCVカテーテルが入っているんで、今日のリハビリはやめときますね。」
ICU患者において、鼠径部にカテーテルが留置されることは珍しくありません。しかし鼠蹊部に挿入物があると、どうしつも安静度を制限してしまいたくなります(筆者自身もそうでした)。
今回は2013年のJournal of Clitical Careと少し古いものですが、鼠蹊部にカテーテルが留置された患者のリハビリテーションに対する報告を紹介します。
対象患者は静脈・動脈・透析用カテーテルのいずれかが鼠蹊部に留置されている患者です。動脈カテが留置されてる患者も含まれています。
リハビリ内容は、ベッド上だけでなく仰臥位でエルゴメーターの実施、座位だけでなく立位や歩行訓練も含まれています。(ヘッドアップの角度にさえ悩んでいた筆者はこの時点で衝撃を受けています・・)
またリハビリ介入により発生する有害事象は以下で定義されています。
- カテーテルの機能不全
- 抜去
- 出血
- 24時間以内の血腫形成
- 後腹膜血腫
- カテーテル関連の感染症
では上記の介入による有害事象の発生はどうだったでしょうか?
リハビリ介入の内容に関係なく、静脈・動脈・透析カテーテル全ての種類において有害事象は認められませんでした。
今回の報告は単一施設での報告なので、カテーテルの管理に関して病院により違いはあるかと思いますが、少なくとも必要以上に有害事象を恐れて安静管理を継続する必要はないかもしれませんね。挿入部のケアは必要ですが、しっかりとリハビリを行い少しでもICU-AWを少なくしていければいいですね。
【参考文献】
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