ICUや一般病床でも重症患者のレントゲンでは、通常の立位(P→A像)ではなく臥位(A→P像)での撮影を行うことが多いと思います。臥位でのレントゲン像は普段見慣れておらず、また教科書も立位でのレントゲン像をメインに記載されていることが多いので、臥位でのレントゲン像の評価に自信がないかといるのではないでしょうか?
今回は現場で知っておきたい臥位でのレントゲン像の見方について、①デバイス位置確認編、②気胸編、③胸水編として3回にわたり紹介します。
デバイス位置確認 [NGチューブ・挿管チューブ・CVライン・SwanGanzカテ・IABP]
今回は臥位で胸部レントゲンを撮影する頻度として最も多いデバイスの位置確認についてとりあげます。現場で確認されるデバイスとしては主に①NGチューブ②気管挿管チューブ③中心静脈カテーテル④Swan-Ganzカテーテル⑤IABPが多いのではないでしょうか?(④や⑤は循環器の患者でなければ頻度は少ないかもしれませんが。ECMOのカテーテルは今回省略します)順番に見ていきましょう。
①NGチューブ
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「NGチューブなんて胃に入ってればいいんじゃないの?」と言われそうですが、筆者も当初はそのように思っていました。NGチューブの種類によっては先端の孔の位置が違うので、排液ならまだよいですが栄養剤などの投与の場合には浅いと食道内に流し込むことになってしまいます。先端位置が「胃食道接合部から10cm以上」深く挿入されていれば、まず大丈夫なようです。(詳しくは“栗原泰之先生 訳「シェーマでわかる胸部単純写真パーフェクトガイド」(メディカルサイエンスインターナショナル)”をご参照ください。NGだけに限らず色々と非常に分かりやすく記載されています。)
②気管挿管チューブ
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挿管チューブの適正位置は「気管分岐部か4〜6cm」とされています。浅過ぎると抜けてしまう、深すぎると片肺挿管になる可能性があります。ちなみに首の角度でも挿管チューブの先端位置は変化し、首を曲げると約2cm近く下方に、首を伸ばすと約2cmほど上方に先端位置が移動すると言われているので、レントゲンを撮る際には首の角度が適切かも確認するようにしましょう。
③中心静脈カテーテル
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中心静脈カテーテルは図のように少なくとも静脈弁よりは心臓側の上大静脈(レントゲンで右第1弓)に留置する必要があります。目安としてはそのままレントゲンにおける右第1弓、もしくは「気管分岐部から上下±2cm以内」がよいとされます。CVラインとしての機能(CVPなど)の面から深ければ深い方が良い、とする報告もあるので、どちらかというと深めがよいかと思いますが、心房などに入ってしまうと不整脈のリスクにもなるので注意しましょう。
④Swan-Ganzカテーテル
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SGカテの先端は「縦隔陰影から2cm以上は離れない」ように留置するのがよいとされています(主肺動脈:右肺動脈/左肺動脈に留置)。浅すぎるとそもそも機能を果たしませんし、深すぎると肺梗塞を起こすリスクになります。
⑤IABP
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IABPの先端は左鎖骨下動脈より2cm下に留置がよいとされています。ただレントゲン写真で左鎖骨下動脈の同定は困難なので、「大動脈弓の上端から2cm下」を目安に確認するのでよいかと思います。深すぎると鎖骨下動脈の解離や穿孔のリスクになり、浅すぎるとバルーンが腹腔動脈や腸間膜動脈、腎動脈などに被さり血流障害を引き起こすリスクがあります。
以上、今回は臥位レントゲンの第1弾としてデバイスの位置確認を取り上げました。次回は第2弾:気胸について紹介したいと思います。
【参考図書】
栗原泰之 訳:「シェーマでわかる胸部単純写真パーフェクトガイド」(メディカルサイエンスインターナショナル)
他
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