HFNOの使用に関する最新のエビデンス

呼吸管理

この10年ほどの間に、呼吸不全患者に対してHigh Flow Nasal Oxygen(以下HFNO)が広く使用されるようになってきましたね。

一般的にHFNOの効果として、下の図のように

  • 設定したFiO2を正確に供給
  • 解剖学的死腔のウォッシュアウト
  • 呼吸努力の軽減
  • PEEP効果
  • 粘膜線毛クリアランスの改善

などが言われています。

(Intensive Care Med (2022) 48:1751–1759より。筆者一部加筆)
集中治療室でのHFNOの使用に関して、最新のエビデンスでは以下の4つの状況(※1)での使用が紹介されています。
①急性低酸素血症
P-SILIに伴う肺障害や挿管に移行するタイミングには注意する必要がありますが、低酸素血症に対する第一選択としてHFNOの使用が推奨されています。HFNOの使用にて患者の呼吸努力も改善され、最近ではCOVID-19患者を含んだ研究にてHFNOの使用で気管挿管率が減少したと報告もされています。
②CO2上昇を伴う急性呼吸不全
CO2貯留を伴う呼吸不全に対してNPPVの使用が第一選択とされていますが、HFNOによる死腔のウォッシュアウト効果とHFNO装着の認容性の良さから、CO2貯留患者においてもNPPVの代わりにHFNOを使用しても十分効果が期待できると言われています。患者によってはその後NPPVや挿管へ移行を要する患者もいるので注意が必要ですが、CO2貯留に対してもまずHFNOを使用してみる、というのが主流になりそうですね。
③人工呼吸器からの離脱後
抜管後にHFNOを使用することで、抜管後の再挿管率を減らすことができます。以前は「COPD患者の抜管はNPPV」と言われていましたが、最近の報告ではHFNOでも十分再挿管を予防してくれそうです。
ただし、以下の表(※2)に示すような抜管後に再挿管となるHigh Risk患者では、抜管後はHFNOよりもNPPV使用がよいとされています。
④気管切開患者
通常使用における効果に比べれば劣りますが、気管切開患者でも流量を50〜60L/minで使用することで、少量ですがPEEP効果も期待でき酸素化を改善するとされています。
気管切開患者への使用では専用の器具が必要ですので、各施設で確認しておく必要があります。
(Intensive Care Med. Apr 20 2023:1-4. Fig.1を参考に筆者が作成)
↑(※1)上図:4つの病態に対するHFNOも期待される効果と影響を示した図。
↓(※2)下表:抜管後の再挿管の高リスク因子について。4つ以上満たせば高リスクと考えます。
( Intensive Care Med. Dec 2022;48(12):1751-1759のTable.1を参考に筆者が作成)

HFNOは今後ますます使用頻度が増え、有効性を示す報告も多数出ることが予想されます。
情報をアップデートしながら、適切に使用していきたいですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました