「脳損傷で意識障害があるのですが抜管しても大丈夫でしょうか?」
挿管・人工呼吸管理を行なっている患者が抜管できるか評価する際に、意識レベル・従命が入るかどうかは非常に重要な項目です。
では脳外科患者のように意識障害の改善に時間を要する患者では、どうすればよいでしょうか?
脳損傷で意識障害を有する患者の抜管成功を予測するスコアに関して取り上げた報告(2017年と少し前ですが)を紹介します。
この論文では、外傷やSAH、脳出血、脳腫瘍だけでなく中枢神経感染症も含めた患者で検証されています。
ちなみに挿管前のGCSは12点以下で、挿管期間は48時間以上。
そして導きだされたスコアが
「VISAGE score」
(VIsual pursuit, Swallowing, Age, Glasgow for Extubationの頭文字のようです)
- AGE:40歳以下か以上か
- Visual pursuit:追視ができるかどうか
- Swallowing:嚥下
- Glasgow :GCS>10
スコア値と抜管の成功率は(抜管後48時間以内に再挿管されなければ成功)
0点だと23%程度だが、3点になると80%を超えてきており
VISAGEスコアが3点以上であれば
感度62%, 特異度79%, 陽性的中率90%(陰性的中率は39%)
抜管成功者の90%がVISAGEスコア3点以上、と考えると魅力的な数値に見えますね。
あくまで抜管の参考項目としての使用になるかと思いますが、「追視」などは普段の診察には用いても(何となく「意識いいな~」くらいに思っても)、”抜管の指標にしよう!”とか僕自身は考えたこともなかったので、抜管の評価に悩む際の一つの手助けとして考えてもよいかもしれませんね。
(visage score項目:Anesthesiology 2017; 127:338-46. Table.3)
(visage score結果:Anesthesiology 2017; 127:338-46. Fig.1)
【今回取り上げた論文】
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