呼吸デバイスの違いを理解しよう!

呼吸管理

HFNCとNPPVの使い分けがわかりません・・・

呼吸療法において様々なデバイスがあり、その使い分けを苦手に感じる方も多いかと思います。(筆者も研修医の先生からよく相談をうけます)
各種デバイスの詳細な説明は紙面の分量的にできませんが、本日は侵襲的機械換気(PC-A/C)・NPPV(BIPAP, CPAP)・HFNCの設定におけるおおまかな特徴を比較しながらデバイスの特徴について説明したいと思います。
(※ 本ブログではHFNO(High Flow Nasal Oxygen)ではなくHFNC(High Flow Nasal Cannula)の記載で進めていきます。ちなみに”BiPAP”は商標名で”BIPAP”は換気モードの名称です。)

Step.1 酸素化と換気を分けて考える

これは呼吸管理を考える際の前提条件です。ざっくりと「呼吸管理」ではなく「酸素化」に対する加入なのか「換気」に対する介入なのか分けて考えます。酸素化、換気でそれぞれ呼吸デバイスの設定する項目も違いますし、また評価方法やその後の介入も違います。特に「換気」はややこしいかもしれません。換気の評価は最初は”CO2”と考えてよいかと思います。慣れてくるとARDSなどにおける吸気努力や呼吸様式などが重要な換気の評価項目になることもわかってくると思います。

Step.2 それぞれのデバイス/モードの設定のおおまかな特徴を知る

先述の通り酸素化と換気に分けた上で、それぞれの設定の特徴を比較します。呼吸において最大限にサポートのできる侵襲的機械換気:PC-A/Cを基準として、NPPV(BIPAP, CPAP)、HFNCの違いを理解していくのがオススメです。
BIPAP
こちらはPC-A/Cと同じく設定をほぼfull coverしています(当然非挿管ですのでPC-A/Cに比べれば効果は劣りますが)。特徴としては換気のサポートとして吸気圧を調整できる点が、CPAPやHFNCには無い点です。ちなみにBIPAPにおけるサポート圧(PS:Pressure Support)は表の通り”IPAPーEPAP”なので、間違えないようにしましょう。
CPAP
先ほどのBIPAPから呼吸回数と吸気圧の設定がなくなっています。すなわち換気のサポートが入りません。呼吸回数が十分得られていることが前提なのはもちろんですが、吸気圧のサポートも不要である(例:CO2の貯留はない、など)の状況での使用が前提です。酸素化におけるCPAP効果はあるので、特に肺胞虚脱を防ぎたい病態(肺水腫など)での使用が一般的です。
HFNC
高流量の酸素を送り込むデバイスです。基本的には酸素化をサポートする機器ですが、高流量のFlowによる死腔換気の減少でのwash out効果などからCO2の減量も期待でき、最近のエビデンスではCO2上昇を伴う呼吸不全でもFirst choiceの使用を提案されています。
ちなみにPEEPに相当する欄は「△」としています。これはHFNCにも少量のPEEP効果があり肺胞虚脱を減少すると言われているからです。(詳細は「HFNCにPEEP効果はあるのか?」を参照ください)

Step.3 それぞれの特徴を念頭に患者の病態に合わせて選択する

先ほどの特徴を理解した上で、そのモードやデバイスがよいか患者の病態に合わせて考えます。例えば「低酸素、CO2上昇も伴うCOPD急性増悪なのでBIPAPを選択しよう」「肺水腫はないが間質陰影が増強したIP(間質性肺炎)に対して、酸素化を効率的に行うためHFNCを選択しよう」などです。

表には教科書的な内容を記載してみましたが、この通りではありません。例えば心不全の患者でも吸気努力が強く換気のサポートが必要そうであればBIPAPの選択が望ましいですし、COPD急性増悪の患者でもCO2の上昇もなく低酸素だけであればCPAPでも良いかもしれませんし、最近のエビデンスからはHFNCがFirstでもよさそうですね。あくまで「病名」でデバイスを決めるのではなく、「病態」を考えてデバイスを選択するようにしましょう


今回紹介した内容はほんの一例ですが、『酸素化と換気で分けて考える』『患者の”病態”を考えて特徴に合ったデバイスを選択する』といった考え方をぜひ理解していただければと思います。

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