HFNCにPEEP効果はあるのか?

呼吸管理
HFNC(High Flow Nasal Cannula)が出回った頃から、この疑問はよく言われていました。筆者もこれに対しては非常に懐疑的でした(むしろ当初は否定的)。今回はそんな疑問に対しての報告を紹介したいと思います。
HFNCにPEEP効果は「ある」
最初に結論を述べちゃいました(笑)。この内容を取り扱った論文も多くみられます。
といってもこれで終わるのも何なので、いくつか筆者が注目した論文を紹介したいと思います。
PEEPだけでなく食道内圧や経肺圧にも影響 Intensive Care Med(2021)47:851-866
ARDSにおける非侵襲的換気戦略に関するレビューです。詳細は割愛しますが、この中で非常に見やすくて興味深い表があるので紹介します。
 Intensive Care Med(2021)47:851-866より。筆者加筆。
HFNCとCPAP、BIPAPを比較した表ですが、
①:Flow:60L/minにおいては気道内圧が3cmH2O程度維持されてる
②:食道内圧の陰圧への変動が減少している(Δ食道内圧の減少)
③:②の結果、経肺圧の変動も減少している(Δ経肺圧の減少)
といった内容が紹介され知ます。「気道内圧が3cmH2O程度に維持されている=PEEP:3cmH2Oの効果がある」ことだけでなくΔPesやΔ経肺圧への寄与も示されており、今後ARDS管理におけるHFNCの有用性が高くなっていくことが期待される論文ですね。
PEEP効果は気管切開患者でも Ann Intensive Care(2019)9:114
気管切開患者におけるHFNCの生理学的効果を評価したものです。こちらも詳細は割愛しますが、
Flowが増えるほど気道内圧が高まる(Flow:50L/minで呼気時の平均気道内圧が4cmH2O程度)
経鼻装着に比べれば効果は劣るも気管切開患者での装着でも呼気時気道内圧の上昇に寄与している
が見てとれます。上気道の抵抗がPEEPの生成にいかに重要かも分かりますね。
 Ann Intensive Care(2019)9:114より。筆者加筆。

HFNCとPEEPに関して論じられたものは他にもたくさんあり、今回紹介したのはほんの一部ですのでぜひmなさんも色々チェックしてみてください。
【参考文献】

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