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敗血症性ショックにおける輸液管理 〜4つのPhaseを意識して〜 | ICUと呼吸器外来のあいだ

敗血症性ショックにおける輸液管理 〜4つのPhaseを意識して〜

循環管理
敗血症性ショックへの対応は、ICUにおいてARDSと並んで最もと言っていいほど重要です(と、筆者は思ってます)。敗血症性ショックの病態は時間とともに変化するので、輸液の戦略もそれぞれのフェーズに合わせて行う必要があります。本日は敗血症性ショックにおける輸液管理を紹介します。

4つのフェーズを意識しよう

(British Journal of Anaesthesia113(5): 740–7 (2014)より筆者にて一部改変)
上の図の通り、まずは敗血症における4つのフェーズを意識することが重要です。表の横軸は時間経過、縦軸がvolume status(=In/Outバランスと考えても馴染みがあってよいかと思います)です。①蘇生期は血圧が低かったり乳酸値が上昇している時期で、この時期はとにかく輸液を速やかに行い(同時にカテコラミンも使用し)いったん状態を落ち着けます。蘇生輸液やカテコラミンの使用で何とか血圧が保たれ始めた時期が②最適化期です。そしてショックも離脱(カテコラミンも減量/終了)でき始めた時期が③安定化期です。そして、最後にこれまでの補液で過剰となった体液を得性するために除水を行うのが④排泄期となります。敗血症の輸液に関する論文も多くあり、それぞれのフェーズの呼び名が違う表記のものもあるかと思いますが、意味合いはみな同じです。
ではここで、注意点を2つほど紹介します。

①各フェーズでのvolume管理を意識しよう

(Critical Care (2023) 27:123より筆者追記)
先ほどとは違う出典ですが、この表における棒グラフ:volumeの指標は日々のIn/Outバランスを考える際に非常に参考になると思います。①Resuscitation(蘇生期)に時期は蘇生輸液でプラスバランスに管理しますが、②Optimisation(最適化期)や③Stabilisation(安定化期)の時期は過剰な輸液は控え輸液は最小限とし、In/Outバランスもほぼ0に近くなるような管理を行います。ショックも離脱しカテコラミンも終了できる③Stabilisationの時期には、マイナスバランスに傾くことも許容されます。④Evacuation(排泄期)は除水を進める時期ですので、バランスはマイナスになります。各フェーズにおいて、どれくらいのバランス管理が望ましいか想定しながら輸液を検討するのは非常に重要かと思います。

②時間経過を意識しよう

(Ann. Intensive Care (2018) 8:66より筆者追記)
これはまた別の出典です。各フェーズの頭文字「ROSE」と表記してありわかりやすい。ちなみに⑤のフェーズ:Hypoperfusion(低灌流期)も設けていて、ここでは過剰な体液除去による低灌流が起こりうる時期なので注意しましょう、といった形で注意喚起されています。
この表で意識していただきたいのが、まず上の表の時間経過。中でも重要なのは、①Resuscitation(蘇生期)の時期はminutes=”分”で(少なくとも1時間以内で)脱しましょう、とうのと、④Evacuation(排泄期)がweeksとあり、敗血症性ショックとして治療を開始し少なくとも1週間以内には④排泄期に達しているはず、といった時間経過で進むということです。そうで無い場合には、介入が十分で無い可能性があるので、治療の見直し、もしくは新規病変がないかなどの検索が必要です。
またこの論文では、臓器障害が起きやすい時期をなども紹介してくれています(下の表)。臓器障害が生じやすいのは①Resuscitation(蘇生期)と③Stabilisation(安定化期)で、①の時期はショック状態であり酸素運搬が十分でないため臓器障害が引き起こされる、③の時期は過剰輸液に間質浮腫が生じ、酸素の拡散障害が起きることで臓器障害が悪化するリスクがあるとされています。逆に②Optimisation(最適化期)と④Evacuation(排泄期)では、②は蘇生輸液で①のショック状態から改善するために臓器機能は回復、④は除水を行うことで③の間質浮腫が改善することで臓器機能は回復するとされています。
敗血症は非常に重要であり頻度も多い疾患ですが、だからこそその管理に悩むことも多いと思います。ぜひ”4つのフェーズ”を意識することで、病名ではなく病態に応じた輸液の対応ができるようになりたいですね。
【参考文献】

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