リバーストリガー(reverse triggering)を理解しよう

呼吸管理

「ダブルトリガーが出てるんですが、鎮静が足りないんでしょうか??すごく鎮静は効いていそうなんですが・・・」

リバーストリガーとは?
リバーストリガーとは人工呼吸器からの強制換気により、患者の横隔膜の収縮が誘発されトリガーがかかってしまう、といった非同調のことを言います。
自分は全く吸う気はないのに、人工呼吸器から空気が送られてきて(強制換気)、その刺激でさらに吸気が起こる(横隔膜が収縮する)という現象です(下図イラスト)。
言葉だけで理解するのは難しいので、実際の呼吸器のグラフィックを見てみましょう。
リバーストリガーの見つけ方
上はどちらもリバーストリガーのグラフィック写真です。リバーストリガーの波形は横隔膜の収縮を表す上に凸の波形のよるM字波形が特徴的です(上写真左)。そして呼気相の最初の上に凸の波形がトリガーされることで、ダブルトリガー(2回連続で吸う)が生じます。
さて、サポートが足りない/患者が苦しい場合のダブルトリガーと何が違うでしょうか?大きな特徴は“患者は深鎮静(もしくは脳死など)の状態にある”ことが特徴です。自発呼吸がなく強制換気されているところで、その刺激で自発呼吸が出てしまった、状態です。なので下写真のように、1回目の波形は「強制」ですが2回目の波形は「補助」(=自発呼吸)になります。
リバーストリガーは何が悪い?
リバーストリガーの問題は大きく次の2つです。
①1回換気量が増加し肺の過膨張が起こる
②呼気相で横隔膜の収縮することで横隔膜の機能障害が生じる
です。①はダブルトリガーなどで結果的に1回換気量が増加してしまい、肺の過膨張が生じ肺傷害につながる可能性があります。②は本来呼気相は横隔膜の筋肉が伸長する過程ですが、このタイミングで本来起こり得ない横隔膜筋肉の収縮が起きることで横隔膜の筋損傷が引き起こされる可能性があります。
リバーストリガーへの対応
深鎮静などで自発呼吸が抑制されていることが発生に関連しているので、
基本的には自発呼吸を促すことが対処法になるとされています。
①鎮静を浅くして自発呼吸を促す
②呼吸回数の設定を下げることで、自発呼吸が出やすい状況を作る
他にも、吸気圧のサポートを下げてみるのも良いかもしれませんね。でも基本は①の鎮静を浅くするのが基本かと思います。
しかし、ARDSの急性期(肺保護管理をしたい)など鎮静を浅くしたり自発呼吸を促したり、といった事を避けたい状況もあるかと思います。その場合には③筋弛緩薬の使用も考えなければいけないかもしれませんね。
ダブルトリガーになれば換気量の上限であアラームがなるかもしれませんが、そうでなければ基本的に人工呼吸器のアラームもならないことが多いです。ぜひグラフィック波形から見つけられるようになりたいですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました