ノルアドレナリン投与中でもリハビリはできる?!

リハビリ

「先生、ノルアドレナリン使用中なので、本日リハビリは行いません。」

ICUでは多くの患者がカテコラミンを使用していると思いますが、カテコラミンを必要としている状態でリハビリに励んでいいの?、とこれまで思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
今回はICUでのリハビリにおいて、カテコラミンの使用量に関して調べた報告を紹介します。

2018年3月〜2021年9月17日年11月までにドイツの大学病院の16のICUに入院した患者を対象とした後ろ向きのコホート研究で、リハビリの頻度や早期開始できたか(72時間以内に開始できたか)、リハビリの強度はどうかをPromary Outcomeに、Secondary Outcomeにはノルエピネフリン投与下での有害事象の有無や院内死亡率が検討されました。
今回12462名の患者が解析対象となり、うち842名の患者がノルエピネフリンの持続投与下でリハビリを施行されています。
・ノルエピネフリン投与されてる患者では、投与されていない患者に比べリハビリの介入が少なく、早期開始される割合も少ない(←気持ちはわかります)
・しかし、ノルエピネフリン投与下でのリハビリの施行が、院内死亡率に有意な影響は与えなかった(=ノルアドリナリン投与中にリハビリしたからといって、死亡率が有意に増えたわけではなかった。ホッ。)
・ノルエピネフリンの投与量が多いほど、ベッドから離床してリハビリを行う頻度は少なかったが(そらそうかな)、ノルエピネフリンの投与量が多い場合でお低い場合と比べて有害事象の有意な増加は起きなかった。
ベッド上のリハビリであればノルエピネフリン0.33γ(0.33μg/kg/min)ベッドから起きてのリハビリであればノルエピネフリン0.20γ(0.20μg/kg/min)までの投与量であれば、リハビリが安全に施行できた、と報告されています。

単一施設の報告(ただヨーロッパ最大の大学病院で様々な部門の16のICUがあるよう)ですが、
ノルアドレナリン投与下でもリハビリを積極的に進める後押しになりそうですね。筆者自身にはノルアドレナリン0.2γで投与している患者を歩かせる勇気はないですが(笑)、それでも同じような報告が増えてカテコライン投与下、人工呼吸管理下などでもより安全にリハビリを進められる環境・方法が広まることに期待しています。
【今回とりあげた文献】

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