ARDSの管理においても水分を制限した管理が推奨されています。我々も人工呼吸管理の患者、特にARDSの患者などでは、可能な限り水分を制限、時に利尿薬でマイナスバランスを目指した管理を行うことが多々あります。
今回、人工呼吸管理をされている患者に対して体重に基づいて水分制限や利尿薬の投与を行うことによる効果を検証した試験”POINCARE-2”を紹介します。
死亡率・人工呼吸器装着期間は変わらず・・・
対象はICUで人工呼吸管理を受けている患者です。図1の通り呼吸不全/ARDSに特化したわけではないようです(ARDS約3割。ちなみに中枢神経障害も約3割)。介入は
①入院後、Day.2の時点で入院時より体重が2kg以上増加していれば、水分制限やフロセミド1mg/kgを使用し24時間で0.5kg以上の体重減少を目指す
②Day.3〜Day.7も入院時の体重より増えているようなら、同様に24時間で0.5kg以上の体重減少を目指すよう管理
③Day.8〜Day.14は入院時よりマイナス2kg以下の体重になるよう、24時間で0.5kg以上の体重減少を目指し管理
Primary Outcomeを60日死亡率、Secondary Outcomeに28日/院内死亡率、人工呼吸器装着期間などを検証しています。(ちなみに、収縮器血圧<90mmHgやカテコラミンの使用、K値<2.2mmol/L、Na>155mmol/L、著明な腎機能障害などがみられた場合は、改善するまで介入を行いません)
そして結果は、死亡率、人工呼吸器装着期間に差は認めない、といったものでした。
確かにARDS患者に絞った患者群ではありませんが、だからこそこれで結果がでるなら人工呼吸管理一般として水分制限管理が推奨できるのでは?、と思っていただけに個人的には少し結果には残念でした。
何も考えずに水を引けばよいというわけではないようですね。
【参考文献】
↑今回取り上げた論文です。
↑体重管理のプロトコールの詳細がこちら。
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