DKAに関する最近の話 治療における誤解7選

代謝・栄養
前回、DKAの治療における血糖値の低下速度の目安について紹介しました。(「DKAの治療における血糖値の低下速度の目安は?」←ぜひ覗いてみてください)
DKAのmanagementについてはたくさんの文献がありますが、2023年のIntensive Care Medicineで紹介されてるものは非常にコンパクトにまとめられていますし、興味深い誤解なども取り上げてくれているので、今回はこちらを紹介します。
全体を通して
治療の柱は
①インスリンによるグルカゴン/インスリン比の是正
②輸液による脱水の補正
③カリウムの補充
の3本柱であることはこれまでと同じです。血糖値の低下速度も「1時間あたり50〜70mg/dLのペースで緩やかに低下させる」というのも前回紹介した内容と同じですね。重炭酸の使用に関しては、pHの数値のみをみて投与することは推奨していませんが、低Naと著明なCl上昇を伴う重篤なNaーClギャップが低下した状況では使用を検討するよう紹介しています。本文自体に目立った内容はないですが、Table1.で紹介されている「治療のおける誤解」は非常に興味深いです。
Table1:DKA治療における誤解7選
誤解1:DKAには大量輸液が必要である
→(正):高血糖による腎からの大量の体液喪失は長期間の場合におこるが、短期間ではそうではない。また透析患者や正常血糖DKAでは体液喪失は少ない。
誤解2:DKAの輸血は0.9%生理食塩水は用いる
→(正):0.9%生理食塩水は高Cl性アシドーシスを起こし、また脳浮腫も予防しない。AG改善には差はないが緩衝晶質液の使用はpH補正を早める。
誤解3:DKAの輸液は体重あたりの固定輸液速度で行う必要がある
→(正):輸液速度を下げると高Cl性アシドーシスが少なくなり輸液過多のリスクを下げることもできる。患者の状態合わせて柔軟に対応すべきである。
誤解4:補正Na値と血糖値は直線的な関係にある
→(正):そうでないことが多く、また脳浮腫の発生率も輸液の浸透圧とは関係がないので補正Na値の臨床的意義は低い。
誤解5:DKAにおける高Cl性アシドーシスは医原性の結果のみである
→(正):輸液の投与だけでなく、治療前のDKAの重症度と罹病期間にも関係している。特にβ-ヒドロキシ酪酸などのケト酸を尿中に排泄する際に腎におけるClの再吸収が増加する。
誤解6:DKAはインスリン静脈内投与のみで治療すべきである
→(正):重症でなければ超速効型インスリンの皮下投与(0.1U/kgを1時間ごと)でもDKAの治療期間が短縮され静脈投与も不要になる可能性がある。
誤解7:DKAの改善の基準として血糖値とケトン体を用いる

→(正):通常DKAの改善基準は「pH>7.30とHCO3>15mEq/L」である。高血糖の完全な是正は必須でなく、またケトン体の日常的な測定も必須ではない。


個人的には、やはり誤解2の生理食塩水の使用は必須ではなく、むしろリンゲル液などの使用を勧めるところが印象的でした。確かに0.9%生理食塩水はそこまで悪くない、とする論文も最近見かけるようになりましたが、頑なに0.9%生理食塩水を推奨していたDKA(HHSも)でこのような記載が見られるようになったのは印象的ですね。
論文自体は非常に短いので、是非みなさんも確認してみてください。
【今回紹介した文献】

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