てんかん重積に対する治療アルゴリズム 〜痙攣が止まりません〜

脳神経

先生、痙攣が止まりません!

救急外来だけでなく、一般病棟やICUでも経験することのあるcaseかと思います。でんかん重積(SE:status epilepticus)とは、大きく痙攣性てんかん重積(CSE:convulsive SE)非痙攣性てんかん重積(NCSE:nonconvulsive SE)の2つに大別されます(ちなみに「重積」とは、痙攣発作が5分以上持続する場合「早期てんかん重積」、治療で頓挫せず30分以上持続する場合「確定したてんかん重積」とされています1)。”5分”は一つのポイントです)。30分以上持続すると脳に長期的な後遺症を残す可能性があると言われています。ここで大事なことは「てんかんと痙攣は違う」ということです。「てんかん発作」とは脳の異常な電気活動により引き起こされる発作のことであり、「痙攣」はあくまでその表現型(症状)の一つです(なので”NCSE”といった”痙攣していないけどてんかんが重積した状態”が存在するんですね)。
本日は特に「痙攣性てんかん重積」への対応を紹介します。

てんかん重積への対応は3段階

てんかん重積では発作持続時間が長くなるほど死亡率も上昇し、またベンゾジアゼピン系薬剤に対する反応も低下すると言われており神経学的緊急症です。対応としては、まずはモニター接続しvital signの確認、そして意識(神経)の問題ですがその前に呼吸・循環の確保が安定化が優先です(気道確保/人工呼吸管理や脳灌流圧を保つため昇圧薬の使用なども検討)。その上で、では重積状態に対してどのような対応を行うのでしょうか?アメリカてんかん学会より痙攣性てんかん重積の治療アルゴリズムを紹介します2)。3段階での対応になります。
(Epilepsy Curr.2016 Jan-Feb;16(1):48-61のFig1.を参考に筆者が作成)
1 initial therapy:ベンゾジアゼピンによる頓挫
発作持続時間が5分を超える場合は、initial therapyを開始します。具体的にはベンゾジアゼピン系薬剤を使用し頓挫を図ります。表に紹介した3つの薬剤に優先順位はありませんが、他の選択肢としてはフェノバルビタールの静注も投与速度の遅さから第2選択にはなりますが選択肢にはなります。大事なことは”十分量を単回投与“です。少量を分割で使用するのではなく、1回しっかり使用して効果なければ次のステップへ速やかに進みます。
2 second therapy:抗てんかん薬の使用
initial therapyでおさえられない場合にはsecond therapyに移ります。いわゆる抗てんかん薬とされる薬剤の使用です。この段階で優先するべき薬剤の選択はありません。表で紹介したような薬剤を選択します。多くの施設がホスフェニトイン(ホストイン®︎)やレベチラセタム(イーケプラ®︎)を使用する施設が多いのではないでしょうか(レベチラセタムの使用が増えてきており、最近(2023年)国内でのレベチラセタムvsホスフェニトインを比較したpaperもでてましたね3))。またここでも第2選択にはありますがフェノバルビタールも選択肢にあがります。
3 third therapy:静脈麻酔による発作の抑制
second therapyでも発作が停止しない場合や40分以上持続する場合にはthird therapyを開始する必要があります。この段階はミダゾラムやプロポフォール、チオペンタールなどを用いて抑えにかかります。持続脳波モニタリングは必要で、burst suppression波形が得られるまで鎮静を深めることも指標として紹介されます(ここは多説あり)。いずれにせよかなりの鎮静薬の使用になることがよそくされ、当然呼吸抑制も出現するので、third therapyの段階では挿管・人工呼吸器管理が必要になります。また血圧低下も伴うので昇圧薬も必要になることが多いです。third therapyは少なくとも24時間以上(24〜48時間)は維持し、その後静脈麻酔薬を減量・中止して状態を確認します。ここでまた発作が生じるようであれば、再び静脈麻酔を再開して抗てんかん薬の増量や他薬剤の追加などを行い(second therapyを強化し)、その効果を待って再び鎮静から醒まして状態の確認をする、という対応を繰り返します。

(Burst Suppression波形の例:Brain Dev.2013 Oct;35(9):827-41より)


以上がてんかん重積における3段階での対応の紹介です。先に述べた通り、てんかん重積は緊急に介入を要する病態であり、また治療の遅れが脳予後にも直結してしまいます。いつ出会っても速やかに対応できるように、治療の流れはぜひ知っておきたいですね。
【参考文献】

(2) Glauser, T.; Shinnar, S.; Gloss, D.; Alldredge, B.; Arya, R.; Bainbridge, J.; Bare, M.; Bleck, T.; Dodson, W. E.; Garrity, L.; et al. Evidence-Based Guideline: Treatment of Convulsive Status Epilepticus in Children and Adults: Report of the Guideline Committee of the American Epilepsy Society. Epilepsy Curr 2016, 16 (1), 48-61. DOI: 10.5698/1535-7597-16.1.48.[アメリカてんかん学会ガイドライン]

(3) Nakamura, K.; Marushima, A.; Takahashi, Y.; Kimura, A.; Asami, M.; Egawa, S.; Kaneko, J.; Kondo, Y.; Yonekawa, C.; Hoshiyama, E.; et al. Levetiracetam versus fosphenytoin as a second-line treatment after diazepam for status epilepticus: study protocol for a multicenter non-inferiority designed randomized control trial. Trials 2021, 22 (1), 317. DOI: 10.1186/s13063-021-05269-7.[国内でのsecond therapyにおけるレベチラセタムvsホスフェニトインの比較研究]

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