AKIの患者に造影剤の使用は悪なのか?

腎・電解質

「AKIがあるので造影剤は使用せずにCTを撮影しようと思います。」

肺塞栓症の精査や感染症での熱源の検索、また虚血病変の精査など、救急外来から集中治療室に入室する患者では造影CTでの評価を要する患者も少なくありません。
しかしAKIを伴っており造影剤を使用したいけど使用できない、、、そんな経験をされた方も多くいらっしゃると思います。
最近では「造影剤でAKIが増悪する」→「造影剤とAKIは関連が乏しいかもしれない」の流れになってきています。
造影剤との因果関係を否定する大規模研究も出てきていますね。今回紹介する論文もその1つ。
AKI患者における造影剤使用に関して
今回の論文は救急外来を受診した血清クレアチニン値が0.3mg/dl以上の上昇を認めた(KDIGO stage1以上)患者が、造影CTを撮影したことでその後のAKIの経過がどうなったかの後方観察です。
8割近くがstage.1のAKIで造影群のmean sCrも1.5mg/dl程度ですが、退院時までのAKIの遷延や180日以内の透析の開始に関して、造影剤の使用による増悪は認められませんでした。
また救急外来の時点でeGFR<30ml/min/1.73㎡の患者やICUに入室した患者に限定したサブ解析でも、同様の結果であったことが僕たちにとっては重要な結果でしょうか。
Intensive Care Med (2023) 49:205–215より。いずれも筆者による加筆あり
たとえ腎機能障害があっても、「造影CTが必要であれば、速やかに撮影する」が今後のメインストリームになりそうですね。(もうなってるかな?)
敗血症のガイドラインにおいても、造影CTは必要であれば早期に行うよう推奨されています(造影剤腎症の懸念よりもメリットが上回る)。
造影剤腎症の予防に関して
現時点では造影剤腎症の予防のための補液量などの明確な基準はありません。
各施設の腎臓内科や放射線科医の指示に応じて、もしくは2018年の腎障害患者へのヨード造影剤使用のガイドラインを参考に対応を決めているところも多いのではないでしょうか?
下の図は2022年のClinical Journal of the American Society of Nephrologyから。図が綺麗で見やすいので載せてみました。
・1000mlの補液(基本は生理食塩水.1.26%重炭酸Na液も選択肢)
・造影1時間前から開始し、6時間以内での投与する
と紹介されていますね。
(CJASN 17(10):p 1446-1456, October 2022.より)
ちなみにメトホルミン
この流れでメトホルミンに関してもおさらいしておきます。
メトホルミン内服患者に造影剤を使用することで、メトホルミン関連の乳酸アシドーシスを発症するリスクが言われています。ではメトホルミン患内服者ではどのように対応すれば良いでしょうか?
基本的にメトホルミンの事前の休薬は不要であり、腎機能に応じて以下の対応で内服を再開します。
AKIなし/eGFR>30ml/min/1.73㎡の患者→造影CT撮影後も中止の必要無し
AKIあり/eGFR<30ml/min/1.73㎡(stageⅣorⅤのCKD)の患者→投与から48時間後に腎機能の増悪がなければ再開
こちらに関しても、必要以上の恐れて本当に必要な検査が迅速に施行できない、なんて事態は回避したいですね。
【今回取り上げた論文】
【他、参考文献】
https://www.jsicm.org/pdf/jjsicm28Suppl.pdf
 ↑日本版敗血症診療ガイドライン2020
https://journals.lww.com/cjasn/Abstract/2022/10000/The_Relationship_between_Rate_and_Volume_of.6.aspx
 ↑造影剤腎症の予防に関して
https://www.acr.org/-/media/acr/files/clinical-resources/contrast_media.pdf
 ↑メトホルミンの記載に関しての参考文献

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