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AKI後の多尿に関して 閉塞解除後の多尿は異常か | ICUと呼吸器外来のあいだ

AKI後の多尿に関して 閉塞解除後の多尿は異常?

腎・電解質

post-renal AKIで閉塞を解除したら多尿になって尿が止まりません。。。

上記のように閉塞を解除することで多尿が起き対応に迫られた経験をされた方も多いかと思います。
これは「Post-obstructive Diuresis」と呼ばれ、尿路の閉塞が解除された後に大量の水や塩分が排泄される病態と言われています。発生率もはっきり分かっていませんが、閉塞解除後の患者の0.5〜52%が経験するとも推定されています。
そのメカニズムとしては、髄質血流のwashoutやヘンレ上行脚でのナトリウム輸送体のダウンレギュレーションによる髄質の濃度勾配の低下や、抗利尿ホルモンに対する集合管の反応が低下し腎性尿崩症を起きている、などの組み合わせの病態と言われています。
ではそもそも閉塞解除後の多尿は異常なのでしょうか?
Post-obstructive Diuresis(POD)は200ml/hを超える尿量が2時間連続する、もしくは24時間で3000ml以上の尿量を認めることで診断されます。
・24時間ほどで自然に改善するものは生理学的なPOD
・48時間以上継続するものは病的なPOD
と考えられています。
 電解質補充や補液は必要ですが、それ以外の介入は不要とされており、尿量や電解質をモニターしながら過剰輸液を避け尿量分を後追いで補充し、必要な電解質を適宜補充する対応を行います。
Augmented Renal Clearance:ARC
さて、上記はpost-renal AKI後の話でしたが、もちろんそれ以外のAKIでも、多尿を経験することはよくあると思います。
ただただ大量に輸液をした後のリフィリングを見ていたりAKIの利尿期の生理学的な経過を見ているものであれば問題はないですが、中には注意を要するものもあります。
今回はそんな注意を要するものとして「Augmented Renal Clearance:ARC」を紹介します。
「Augmented Renal Clearance:ARC」
ARCとは重症患者において糸球体濾過量の異常上昇により抗菌薬の腎クリアランスが上昇してしまう病態のことです。定義上は必ず多尿を伴うわけではないですが、実際は多尿を伴うことが多い。尿中クレアチニンクリアランスCCr>130mL/min/1.73㎡が目安にされることもあるようですが、ICU患者では常に尿中クリアランスが変動しており正確な評価は困難です。
ARCが生じるメカニズムは下記の図のように考えられています。
Curr Opin Pharmacol. Oct 2015;24:1-6.より。筆者加筆)
炎症性サイトカインによる血管抵抗の低下や心拍出量の増加が糸球体濾過量を上昇させ、その結果抗菌薬のクリアランスを上昇させてしまいます(=抗菌薬を予定以上に腎排泄してしまう
尿量や電解質であればモニターしながら適宜補充ができますが、抗菌薬の血中濃度の低下はやっかいです。
Curr Opin Pharmacol. Oct 2015;24:1-6.より)
上図のようにARCではPK/PD理論において、AUCの減少、Time Above MICが減少してしまいます。我々がよく使用するペニシリン系やセフェム系、カルバペネム系はTime Above MICに依存するので抗菌薬の効果が弱くなってしまいます。
ARCの病態を診断するのは難しいかもしれませんが、敗血症性ショックの患者などで多尿を認める、もしくは多尿まではいかなくとも著明な電解質異常を認める患者などではARCの病態も考え、抗菌薬投与量を最大量にしたり、また投与時間を長く(連続)するなどの対応を心がけるのがよいかもしれませんね。
【参考文献】
↑Post-obstructive Diuresisについての参考文献
↑Augmented Renal Clearanceについての参考文献

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