ストレス潰瘍予防のPPIは感染を増やす?H2RAを使用した方がよい?

消化管・肝胆膵
PPI(プロトンポンプ阻害薬)による有害事象を耳にした(実際に経験した)こともあるのではないでしょうか?特に感染に関する話はよくきくところと思います。最近(2023年ですが)、JAMAよりPPI使用による耐性菌増加の論文もでたことも含め、今回はPPIについて少し取り上げてみます。(といって筆者はPPI反対論者ではありません。むしろよく処方している(笑))
集中治療室では多くの患者でPPIを使用している
ICU入室患者の大部分で24時間以内に粘膜障害が生じると言われており、出血リスクの軽減からもストレス潰瘍予防が推奨されています。主なリスク因子(適応となる患者)は以下の通りです。
(文献1より。筆者にて日本語訳追記)
この表からも分かる通り、ARDSなどの人工呼吸管理を要する呼吸不全や敗血症性ショックの患者は高リスクになるので、おそらくICUに入室する多くの患者で、ストレス潰瘍予防を検討することになります。
PPIは感染が起きやすい?
導入でも紹介しましたが、2023年(JAMA)の報告でPPIの使用で薬剤耐性腸内細菌(ESBL, CPE(カルバペネマーゼ産生菌))獲得のリスクが1.5倍に上昇したと報告されました(文献2)。他にもPPIの使用で敗血症のリスクの増加(BMJ Open 2019年)や敗血症での死亡率の増加(JAMA Open 2021)など、似たような報告は多数出ています。
PPIはやめた方がいい?H2RAの方がいい?
そんな話を聞くと「PPIではなく、H2RA(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)を使えばいいじゃないか?」と考えたくなります。ではH2RAと比べた時のPPIのメリットはなんでしょうか?
①消化管出血の予防効果はPPIの方が高い
人工呼吸器を使用したICU患者でPPIとH2RAを比較した報告(PEPTIC trial:文献3)や他報告でも、PPIでの消化管出血の予防効果はH2RAより優れていると報告されています。
②消化性潰瘍や逆流性食道炎の改善効果が高い
酸分泌抑制抑制効果がPPIの方がH2RAより優れているとされ、また消化性潰瘍や逆流性食道炎の改善においてもPPIの方がH2RAより優れていると報告されています。
やはり潰瘍への効果が優れている部分が紹介されています。ですので、感染が増える/死亡率が増えるという報告を受けながらもPPIを使用している(単純にH2RAをFirst choiceとしていない)のはこのためですね。
死亡率をはじめとした有害事象への懸念からH2RAを選択するか、潰瘍予防効果の高さからPPIを使用するか。現時点では現場の臨床医に判断が委ねられている状態です。今後の報告にも注目ですね。
【参考文献】

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