腹部動脈の石灰化狭窄はNOMIのリスク因子にならない?!

消化管・肝胆膵
腹部動脈の硬化性狭窄はNOMIのリスクにはならない、という報告が以前出ていました。
NOMI(Non-Occlutive Mescenteric Ischemia)は50%を超える死亡率を有する病態であり、心拍出量の低下や循環血漿量の減少に伴う交感神経やバソプレシン、アンギオテンシンなどの過剰な反応による末梢血管の攣縮が関与されているとも言われていますが、その誘発メカニズムはよく分かっていません。
一方で、NOMIのリスク因子は文献による違いはあれ多数言われています。
高齢、透析患者、心機能低下、長時間の体外循環の使用、不整脈、末梢血管障害の既往などなど。熱傷や糖尿病、膵炎などもリスク因子と報告しているものもありますね。
特に、「透析患者で腹部動脈の石灰化の強い患者は、術後NOMIのHigh Risk」と教えられ、僕も自身もよく心臓血管外科術後患者の腹部CTをチェックしていました。
今回取り上げたAnnals of Intensive Care (2022)12:117の報告では
NOMIの疑いで腹部造影CT検査を施行したICU患者の腹部大動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈(SMA)、総腸骨動脈の石灰化を評価・スコアリングし、NOMI患者と非NOMI患者とで比較しています。
そして上記血管の石灰化はNOMIの有無に関わらず患者間に差はなく、NOMIのリスク因子とはならないという結果でした。
(ちなみに本論文では「ショックの重症度と期間がNOMIに関連していた」と報告しています)
何となくイメージとしては「腹部動脈の石灰化が強ければ腸管の血流も容易に途絶えるだろう」と安易に考えていましたが、そうとも限らないようですね。
といっても、重症患者の管理においては常にNOMIは念頭に置いて治療を行なっていく必要はあるので油断はできませんね。
↑文献Table.1でNOMIのリスク因子として取り上げられた項目。多すぎる……..
【今回取り上げた論文】

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